タップ

この前の碁会でのこと。
 
対局した相手の若者は、石を握らないまま碁盤上に手を持っていき、盤面に触れようとした。
 
「あ、間違えた」
 
最初は何のことだろうかと思ったが、現実の碁盤上で対局していることを一瞬失念していたようだった。
 
コンピュータ上で対局できるようになって随分経つが、そういう中で碁盤上を手でタップ(タッチ)しようとする人はいなかった。
 
しかし、今はiPadなどの備える新しいインターフェイスの登場により、コンピュータ上の碁盤と現実での碁盤とが非常に近いところへと寄ってきているようだ。
 
コンピュータを扱って仕事をする者にとって、コンピュータが現実の世界に近づくことは、今まで描いてきた理想へと近づく、まるで夢のようなことだ。
 
ただその反面、現実の世界が持っていた価値が、どこかに奪われていくような不安も感じてしまう。
 

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