88歳の石原慎太郎が書いた「あるヤクザの生涯 安藤昇伝」

石原慎太郎が書いた「あるヤクザの生涯 安藤昇伝」( https://amzn.to/3gg3PQ3 )が先月、5月に発売されました。
石原慎太郎は現在88歳です。

タイトルだけ見るとノンフィクションのようですが、半分は石原慎太郎の「小説」です。

2010年に出版された「再生」( https://amzn.to/2SubGjS )と同系列のものです。この「再生」は人間とは何か、その根源を問う、すごい小説です。
2018年に出版された、田中角栄の伝記のような、「天才」( https://amzn.to/3iCAdxZ )はひどい駄作でした。。
でも、当時はベストセラーになって、Amazonの読者レビューは高評価(星4つ)になっているのが不思議です。

今回の「安藤昇伝」は良いです。
読み終わって、レイモンド・チャンドラー(Raymond Chandler)の「プレイバック(Playback)」を思い出しました。
「プレイバック」はチャンドラーが書いた最後の長編小説で1958年に刊行されました。
チャンドラーは翌年の1959年に70歳で亡くなっています。

この本の「長い後書き」で、石原慎太郎は「晩節の私が今さらこんな本を書いたことに世間は顰蹙するかもしれないが、〜 」と書いていますが、私には石原慎太郎がこの本を書いた理由がわかる気がします。

22歳の時に書いた処女作の「灰色の教室」から今回の小説まで、追求するテーマは一貫しています。

この小説の最後は以下の言葉で終わっています。

〜 彼等は皆俺の人生を命懸けで際どく支えてくれたものだが、皆敢え無く敵の手にかかり死んでしまった。
そしてこの俺だけが今まで生き延びて過ぎた年月がもたらした孤独の中で、今さら他にする術もなく懐旧の渦の中に閉じ込められているのだ。それも一種の宿命とでも言うべきことか。

私はこれを石原慎太郎の独白として読みました。