放射線について(2) - 放射線防護

3月11日の地震と津波による東電福島原発の事故発生以来、原子炉や放射線について、ネットや書籍で調べました。
2回目の今回は放射線防護についてまとめました。

放射線被爆からの人体の防護

被曝(ひばく)とは、人体が放射線にさらされることをいう。
人体についての被曝は、放射線源が体外にあって人体表面から直接に放射線を照射されて(直接線によって)被曝する外部被曝と、経口摂取した放射性物質などで人体内部から被曝する内部被曝に大きく分類することができる。
 (胸部X線撮影(0.1 - 0.3mSv)、胃のX線撮影(4mSv)、CTスキャン(7-20mSv)などは、X線による少量の外部被爆となる。)
参考: ウィキペディア・被爆

(外部被爆の防護は、主に原子力施設など(今回の福島原発の事故の場合は、発電所敷地内)で作業に従事する人たちが対象となる。
それ以外の一般の人たちにとっては、大気中に放出されてしまった放射性物質や、地下水、海水などに漏れた放射性物質を体内に取り込まないようにする、内部被爆の防止が主となる。)

・外部被爆の防護

放射線防護の3原則は、時間(time)・遮へい(shield)・距離(distance)という3つである。

(1)「時間」の原則は、作業者が放射線に曝されている時間を短縮することにより被ばく線量を低減することである。
(2)「遮へい」の原則は、放射線源と作業者の中間に遮へい物を設置することにより被ばく線量を低減することである。
(3)「距離」の原則は、放射線源と作業者との距離を離すことにより、作業時における空間線量率を低減することである。
  放射線の強さは、距離の2乗に反比例し、線源からの距離が遠くなれば、減少する。

 参考:原子力百科事典・遮へい3原則の図

放射線の種類により透過力が異なる。γ線、X線、中性子線は透過力が高い。
α線(α粒子)は電離作用が強いので透過力は小さく、紙や数cmの空気層で止められる。しかし、その電離作用の強さのため、アルファ線を出す物質を体内に取り込んだ場合の内部被曝には十分注意しなければならない。
放射線の遮蔽には、鉛やコンクリートなど比重と密度の大きなものの方が有効。
  例)
  線量当量率を1/10にするために必要な厚さ(Co-60のγ線の例)
    → 水:約30cm  コンクリート:約15cm  鉛:約3cm

  図. 放射線の種類と透過力 (原子力安全研究協会・放射線防護の基本より)

  

・内部被爆

内部汚染を起こした場合、汚染の除去は外部汚染よりはるかに困難となるので、より長期間被曝することになる。
体内に取り込まれた放射性物質がどのように振舞うかは、その元素の種類と化学形により様々である。例えば、ヨウ素は甲状腺に集まる性質があり、ストロンチウムは骨中のカルシウムと置き換わって体内に蓄積することが知られている。
原子炉が爆発したとき、セシウム134、ヨウ素131、ストロンチウム90とともに、セシウム137は健康への影響が最も大きい同位体の1つである。
セシウム137は水溶性の有毒物質である。体内に入るとセシウムは血液の流れに乗って体中に分配され、ガンマ線による内部被ばくを起こす。
プルトニウムとその化合物は人体にとって非常に有害である。プルトニウムはアルファ線を放出するため、体内、特に肺に蓄積されると強い発癌性を示す。

生物学的半減期
体内に取り込まれた放射性物質は、それ自身の放射物理学的に原子核崩壊して減っていくのとは別に、生物学的な作用により、排泄されるなどして体外に排出されることで減っていく。いずれのメカニズムも、体内にあるその物質の量に対し一定の割合が 減少していくので、その減り方は指数関数的であり、一定の時間ごとに半分に減っていく。原子核崩壊によって半分に減る時間を物理学的半減期(または単に半減期)、生物学的な排出によって半分に減る時間を生物学的半減期という。

  参考:ウィキペディア・被爆
  参考:ウィキペディア・セシウム137
  参考:ウィキペディア・プルトニウム

内部被爆の防止/体表面汚染の防止

放射線医学総合研究所のページ「東北地方太平洋沖地震に伴い発生した原子力発電所被害に関する放射能分野の基礎知識」に、屋内退避の場合や住居から避難する場合などの対処方法が書かれています。
以下、要点を引用します。詳しくは上記ページを参照して下さい。

屋内退避の場合:

屋内待避の場合、窓やドアを全て閉め、換気扇を止めるなどして、外からの空気が入らないようにします。

住居から避難する場合:

放射性物質を体内に吸い込まないために、屋外ではタオルや木綿のハンカチを折って、水でぬらして固くしぼり、口や鼻を保護してくだい。ほとんどの放射性物質の吸い込みを防護することができます。
帽子をかぶるなど、できるだけ肌を出さないようにしてください。

大気中の放射性物質による人体への影響と対処方法:

大気中の放射性物質は、地表面や建物などに沈着して、環境中にとどまることがあります。この場合、放射性物質の沈着した飲料水や農作物を摂取することにより、放射性物質を体内に取り込む場合があります。
また、大気中の放射性物質は、直接吸入することもありますので、外出するときには、直接吸入しないように口や鼻を保護してください。

また、北海道新聞のWebページ「放射能から身を守るには」にも必要な知識がわかりやすくまとめられています。

・放射線防護服

放射線防護服は放射線や放射性物質(ガス状の物も含まれる)から身を守るための衣服であるが、考え方としては大別して2種類ある。
ひとつは、放射性物質が体についたり吸い込んだりすることを回避するためのもので、レインコート様のものから気密服までさまざまなタイプのものがあり、危険性の種類によって使い分ける。

もうひとつは、放射線防護機能を持つ遮蔽体を組み込んだもので、放射線が飛び交う環境内での作業の際に着用する。

特に空間中に放射性物質が飛散していないような状況では、放射線発生源との間にのみ遮蔽物を設ければよい訳だが、放射性物質の飛散が考えられる場合には、放射性物質の付着による害を防ぐ防護服の機能が求められるため、この両者の性格を組み合わせたものも存在する。

双方の機能を併せ持つ物では、遮蔽物から成るインナーと、表面の付着より守るアウターに分かれており、アウターのみを使い捨てる様式も見られる。

参考:ウィキペディア・放射線防護服

 参考:原子力百科事典・放射線防護の3原則
 参考:原子力安全研究協会・放射線防護の基本