放射線について(3) - 放射線検出器

3月11日の地震と津波による東電福島原発の事故発生以来、原子炉や放射線について、ネットや書籍で調べました。
3回目の今回は放射線検出器についてまとめました。

(ほとんどが、参照URLからの引用です。特にGM計数管、シンチレーション検出器や半導体検出器については、ウィキペディアの説明をほとんどそのまま引用させてもらいました。)



放射線検出器には、1)測定する放射線の種類、2)測定する目的、3)放射線検知の原理、によって色々な種類のものがある。
 参考:ウィキペディア・放射線の「放射線検出器の種類」の項

ポケット線量計
(日立アロカメディカル)
GM計数管(サーベイメータ)
(日立アロカメディカル)
シンチレーション検出器
(日立アロカメディカル)
半導体検出器
(ORTEC)

(放射線検出器は色々なメーカが製作・販売しています。=> このページの最下部の日本アイソトープ協会のURL参照。
上記製品はWebページの写真や説明がわかりやすかったので参照させてもらいました。)

   *検出器個々の説明はこのページの後半部に載せました。

[ 放射線検出器の種類 - 測定する目的によって分類 - ]

・個人被曝線量の測定

個人の被曝線量を測定するには、フィルムバッジ、ガラス線量計、ポケット線量計などを用いる。
参考:原子力百科事典・坑内作業従事者の被曝対策

・表面汚染の測定

α線:ZnSシンチレーション検出器(ZnS:硫化亜鉛)
β線:GM計数管
γ線:GM計数管

参考:原子力安全研究協会・体表面汚染の測定

・空間線量の測定

γ線:NaIシンチレーション検出器(NaI:よう化ナトリウム)、GM計数管、電離箱
中性子線:3He比例計数管(3He:ヘリウム3、ヘリウムの同位体)

参考:原子力安全研究協会・空間線量率の測定

・放射線スペクトルの分析(放射線スペクトロメトリ)

放射性核種はその壊変に伴って、固有のエネルギーを持つα線、β線、γ線などの放射線を放出する。スペクトロメトリとは、この放射線の線束とエネルギーを測定し、核種を同定するとともにその存在量を決定する(定量)ことを言う。スペクトロメトリに用いる測定装置をスペクトロメータと言う。
スペクトロメータは、放射線検出器、増幅器、波高分析器などで構成される。
  => 原子力百科事典・図1 放射線スペクトロメータの構成例

検出器には、シンチレーション検出器や半導体検出器が用いられる。

参考:原子力百科事典・スペクトロメトリ(α線、β線、γ線、中性子)

サーベイメータとは

サーベイメータとは空間線量率の測定や表面汚染の検査などに用いられる小型で可搬型の放射線測定器である。
参考:原子力百科事典・サーベイメータ

放射線検出の原理と測定方法

物質に放射線が入射すると,物質は電離や励起などを起こし,さらに二次的に発光や化学反応な
どの現象も引き起こす。放射線の測定には,これら物質と放射線との相互作用が利用されている。

[ 放射線検出器の種類 - 検知の原理によって分類 - ]

・気体の電離を利用した測定方法:電離箱、比例計数管、GM計数管
・固体の電離を利用した測定方法:半導体検出器
・励起作用(蛍光)を利用した測定法:シンチレーション検出器
・写真作用を利用した測定法:写真フィルム

参考:原子力安全研究協会・放射線検出の原理と放射線測定の方法
参考:原子力防災基礎用語集・放射線測定器
参考:医療科学社が出版している「医用放射化学」のページ見本のPDF(第3章 放射線の測定原理)
   編著者:福士 政広・大久保 恭仁・加藤 真介、著 者: 志村紀子・大竹洋輔・小川雅之・榎本 敦、本体価格:4,300円(税別)

フィルムバッジ

被覆した写真フィルムが中に入った小さなケース。放射線を取り扱う施設で働く人向けの個人用の外部被ばく線量計。一定期間衣服等に着用し、放射線による写真フィルムの黒化度を測定することにより、被ばく線量を評価する。
参考:原子力安全研究協会・フィルムバッジ

ガラス線量計

放射線を照射したのち紫外線を当てると、放射線の照射量に比例した蛍光を発する性質をもつ特殊なガラスを用いた線量計。
参考:原子力百科事典・ガラス線量計

ポケット線量計

ポケット線量計は、放射線作業において、作業者のγ(X)線による被ばく線量を測定する携帯型の電離箱式個人線量計である。最近は、半導体検出器と計測部分を一体化した電子式ポケット線量計が、電離箱式のものに代わって用いられるようになってきた。
参考:原子力百科事典・ポケット線量計

電離箱

電離箱は、放射線によって空気やその他の気体の中に生じたイオンの量を検出して、その放射線の量を測る装置である。
通常はγ線の空間線量率測定に用いらる。

電離箱は、ガス増幅を行わないで、単に発生した自由電子と陽イオンを両電極に収集する点が特徴である。これを利用した放射線測定器には、ガンマ線量率計、ベータ線量計の他、熱中性子測定用のフィッションチエンバーやガンマ線補償型電離箱などがある。
参考:原子力防災基礎用語集・電離箱
参考:原子力安全研究協会・放射線検出の原理と放射線測定の方法

ガイガー=ミュラー計数管(GM計数管)

ガイガー=ミュラー計数管は、GM計数管あるいはガイガー・カウンター(Geiger counter)とも呼ばれる。これを発明したハンス・ガイガーと、ワルター・ミュラーにちなんで名づけられた。

不活性ガスを封入した筒の中心部に電極を取り付け、高い電圧を掛ける。筒中に放射線が入ると、不活性ガスが電離されて電極と陽極の間にパルス電流が流れる。このパルスを測定・計数することができる。

GM管の構造と原理
 

GM管は通常は端窓型管と呼ばれる形状である。 この型は、管の一方の端に放射線が容易に通過できるように窓があることからこう呼ばれる。反対側の端には通常は電気系のコネクターが付いている。 端窓型管には二種類ある:ガラスマントル型と雲母窓型である。

  ガラス窓型:ベータ線とX線を検出する用途で使われる。
        アルファ線がガラス窓を通過できないのでアルファ線は検出できない。
  雲母窓型: アルファ線も検出できるが、壊れやすい。

GM管はガンマ線も検出できるが、感度はよくない。
中性子線はガスを電離しないので、GM管は中性子は検出できない。 しかし、管の内側をホウ素でコーティングするか、三フッ化ホウ素もしくはヘリウム-3ガスを充填すれば、中性子線にも反応するGM管を作ることもできる。
GM管は安価で頑丈ではあるが、知ることができるのは放射線の数だけである。 放射線のエネルギーを知るためには比例計数管などが必要である。
参考:ウィキペディア・ガイガー=ミュラー計数管

比例計数管

比例計数管は、気体の電離作用を利用した放射線測定器の一種で、極めて細い線の電極を使い、アルゴンガスを封じ込め、高電圧でガス増幅することによりイオンの量に比例増幅した信号を作り出すことによって、放射線の量を測定する。

特徴として以下があげられる。電離箱に比べて1〜3桁大きい出力信号が得られる。GM計数管と比較して分解時間が短い(0.2〜0.5μs)ので、高い計数率の測定が可能である。信号の大きさなどを分析することにより放射線の種類やエネルギーの情報を得ることができ、飛ぶ距離の短いアルファ線、ベータ線、低エネルギーのX線などの放射線の測定に適している。

参考:原子力防災基礎用語集・比例計数管

シンチレーション検出器

シンチレーション検出器は電離放射線を測定する測定器である。廉価で作ることができる割には計数効率が良いので、広く使用されている。アントワーヌ・アンリ・ベクレルの研究成果、すなわちある種のウラン塩類の燐光を発見した事に基づく装置である。
電離放射線を受けたシンチレータから出た蛍光を、敏感な光電子増倍管が測定する。光電子増倍管は電子アンプ等の電子機器につながっていて、光電子増倍管が発生した信号の数と振幅を測定する。これがシンチレーション検出器の基本的なしくみである。

シンチレータと呼ばれるセンサーは、電離放射線に照射されたとき蛍光を放つ以下のような物質から作られる。

* 透明な結晶(通常は蛍光物質)
* プラスチック(通常アントラセンを含む)
* 有機物の液体(液体シンチレーション検出器を参照)

また、小型化・低電圧での使用が求められる場合や、高磁場で光電子増倍管の使用が適さない状況で使用する場合などでは、フォトダイオード読み出しのシンチレーション検出器も使用されている。

ガンマ線検出器の単位体積当たりの計数効率は、検出器中の電子密度に依存する。ヨウ化ナトリウムやゲルマニウム酸ビスマス、ヨウ化セシウムのようなある種の蛍光物質は、原子番号の大きい元素を含んでおり高い電子密度を持っているので、効率が良くなる。中性子検知器の場合には、中性子を効率的に散乱させる水素を豊富に含む蛍光物質を用いることで高い効率が得られる。ベータ線の量を計る効率的・実用的な手段は、液体シンチレーション検出器の使用である。

ガンマ線分光分析を行う場合は、シンチレータより高いエネルギー分解能を持つ超高純度ゲルマニウム半導体検知器などの半導体検出器が好まれる。

シンチレータは、しばしば高エネルギー放射線の一個の光子を、多数のより低いエネルギーの光子に変換するのだが、低エネルギー領域では、メガ電子ボルト当たりの光子の数はほとんど一定である。したがって蛍光(X線またはガンマ線によって生成された光子の数)の強度を測定することによって、オリジナルの光子のエネルギーを特定することが可能である。

分光計は、適切なシンチレータ結晶、光電子増倍管、および光電子増倍管によって製作されたパルス電流の高さを測定するための回路から成る。パルスの数を計数し、そのパルスの高さの順にソートすると、シンチレータの蛍光明るさに対する蛍光の数のx-yプロットができる。これは放射線のエネルギースペクトルを近似している。単色のガンマ線はそのエネルギーで光電ピークを作る

ヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器を用いた60Coのガンマ線スペクトル
 (1173.0keVと1332.5keVのガンマ線ピークが検出されている)
 
ヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器を用いた137Csのガンマ線スペクトル
 (661.6keVのガンマ線ピークが検出されている)
 

参考:ウィキペディア・シンチレーション検出器

半導体検出器

半導体を利用した粒子あるいは放射線検出器である。 主にシリコンまたはゲルマニウムが用いられる。他の放射線検出器 (シンチレーション検出器など)に比べエネルギー分解能に極めて優れているため、放射線のもつエネルギーを精密に測定できる。 関連分野の実験や個人の被曝量を測る線量計、ガンマ線スペクトルを解析することによる核種の同定などに用いられる。
分解能に非常に優れているため低レベル放射線でも感度よく計測できる。しかし裏をかえせば特定の試料の放射線を計測したい場合、バックグラウンドレベルの放射能でもノイズとなる。このため、試料の放射線を測定するには遮蔽体で検出器を覆う必要がある。特に厚さ10 cm程度の鉛で検出器を覆い、更に内部に1 mm程度のカドミウム、さらにはその内側に1 mm程度の銅で覆うことによって、ほとんどのノイズ放射線を除去できる。

ゲルマニウム半導体検出器

Ge半導体検出器はガンマ線エネルギー分解能が約2 eVと非常に高いため、今日では核種の同定にはほとんどGe半導体検出器が用いられる。しかし高い確率で特定の放射線を放出しない核種や、これらの検出器で検出できない放射線を放出する核種・反応などは、当然ながら同定できない。
ゲルマニウム半導体検出器はNaIシンチレーション検出器に比べ約50倍と極めて高い分解能を誇り、原子核物理学はもちろん、放射線医学、高エネルギー天文学などでも利用される。
Ge半導体検出器はバンドギャップの幅が小さいため、常温では熱エネルギーによりバンドギャップを超えて電子が存在するので電気抵抗が低すぎて検出器としては使いものにならない。液体窒素により冷却することによってバンドギャップを超える電子がなくなるので抵抗値が実用レベルになって検出器として用いることができる。使用しないときは常温で保管が可能である。Ge半導体検出器では結晶不感部により吸収されてしまうので測定可能エネルギー下限はせいぜい50 keV程度である。

放射線スペクトルの解析を行うには上述の通り増幅器によって電気パルスを増幅し、これを多重波高分析器 (MCR) で解析する。検出器の分解能が高いため、性能を存分に発揮するためにはNaIシンチレーション検出器を用いたスペクトル解析とは違い安定性の高い増幅器・チャンネル数の多いMCR (通常 4096 ch) を用いる必要性がある。

ゲルマニウム半導体検出器を用いた60Coのガンマ線スペクトル - 下記の文部科学省の資料より -
 (1173.0keVと1332.5keVのガンマ線ピークが検出されている)
 

Ge半導体スペクトロメータの構成の一例 - 下記の文部科学省の資料より -
 

参考:文部科学省・ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリー
   (日本分析センターが運営するサイト「日本の環境放射能と放射線」に掲載されています。)
参考:兵庫県立大学の先生によるオンライン教科書の中の「放射線を用いた分析法

シリコン半導体検出器

Si (Li) 半導体検出器とは、Siの結晶にLiをドリフトした検出器で、こちらは数 keV程度から20 keV程度までの軟X線の分解能に優れ、検出効率はほぼ100%である。しかしGe半導体検出器と違いSiは原子番号が小さいため、せいぜい最大50 keV程度までのX線が測定の限界である。
 注) 軟X線 :エネルギーの低いX線 => ウィキペディア・X線を参照
こちらも分解能に優れているので核種の同定などに威力を発揮し、特に低エネルギー領域の測定に用いられる。測定の方法はGe半導体検出器と変わらない。しかし常温で保存が出来ないため、使用しない場合でも常に液体窒素で冷却する必要性がある

参考:ウィキペディア・半導体検出器

参考:書籍「改訂版 放射線基礎計測学」(のページ見本):Googleブックス、 Amazon医療科学社
   著者: 三枝 健二、入船 寅二、福士 政広、齋藤 秀敏、中谷 儀一郎、定価(本体4,000円 + 税)
参考:日本アイソトープ協会 放射線防護用設備・機器ガイド-2010/2011年版- Webサイト版